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叱った子の親に怒鳴り込まれ


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叱った子の親が怒鳴り込んできた時 …千葉県Wさんの場合から考える

 家庭の教育力の低下が問題にされると同時に、地域の教育力も問題にされています。こういう状況の中で、地域でどう子どもを育てていくのか、難しい局面がいろいろあります。特に地域の親に子育ての自覚が欠けていたり、親自身にも問題がある場合にはいろいろなトラブルが生じることにもなります。

 Wさんは、自宅の玄関のチャイムを押すイタズラや、自宅の庭の物を壊したりすることを頻繁に繰り返す近所の子どもに注意をしました。初めのうちは軽く注意する程度でしたが、とうとう堪忍袋の緒が切れて、ちょっと怒鳴るように叱ってしまったのです。それが悪かったのかもしれません。

 その夜、子どもの父親が、Wさん宅にやって来て、謝罪するどころか、ヤクザのような口調でこう言ったというのです。
「子どもが悪さするなら、親に文句言えア 子どもに怒鳴るんじゃねえ!」
「子どもは悪気があって家や車に傷つけてるんじゃない! 俺の車も傷つけられてるが、お互いさまだから文句を言ったことはない! それぐらい我慢しろ!」「子どもがうるさくて腹がたつんなら、お前の赤ん坊の泣き声がうるさいから殴られても文句言わんやろな!」

 Wさんは、その剣幕に圧倒され、相手の言葉に従うしかなかったと言います。そして、細君は「赤ちゃんが殴られるかもしれない」とすっかり怯えてしまい、|ノイローゼ気味になってしまいました。

 Wさんが怒鳴ったのはまずかったとしても、自分を責めるようなことではないでしょう。自分の子どもが怒鳴られたからといって、その非を謝罪せず、逆に怒鳴り込む方がおかしいのは明かです。

 第一、赤ん坊の泣き声を小学生くらいの子どものいたずらと同列には扱えません。赤ん坊の泣き声がうるさいと言っても、赤ん坊には泣くことが悪いこともわからないし、自制もできません。それに対して、インターホンを押して逃げる子どもならば、それが悪いことだとわかっているはずです。その二つを同列に扱うのは、その人が自分の子どもが赤ん坊と同じくらいの善悪の判断能力と自制心のなさを認めていることになります。そして、そのような感覚で自分の子どもを今まで育ててきたということを意味しています。

 ただ、ある程度の年齢なれば、子どもは自分の世界を作り始め親の目の届かない場所でも活動を始めます。そうなっても親が全てコントロールできるというのは幻想だと思います。そういう場合に、親の知らないところで深い理由もなく軽い気持で悪いことをしている場合もあります。しかし、だからこそ、そのようなときに周囲に大人の目があって注意してもらえるのはありがたいことで、恨みに思うようなことではないでしょう。我が子が悪さをした時には、子どもと一緒にご迷惑をお掛けしたお宅に伺い、まず子どもにに自分で謝らせ、親も謝罪し、また何か悪さをしたらいつでも叱って下さいと言うのが筋だと思います。

 それを、自分が子どもをいい加減に育て、自分が怒らないことに他人が怒るのを越権と考えているとすれば、勘違いも甚だしいところです。もしかすると、親自身が人への迷惑なことを顧みない生活をしているとも考えられます。そういう人に限って、子どもが叱られたことをあたかも自分自身が非難されたと勘違いして過剰反応場合もなくはありません。残念ながら、今の時代、そういう大人が大勢いるのは事実です。

 ただ、この問題は、誰に非があるとか、どういうところがおかしいとか議論しても、あまり解決には結びつきそうにはありません。本当に問題ありの「怖い人」なら、場合によっては警察への相談も必要かもしれませんが、下手に第三者が介入すると問題を難しくする場合も考えられます。取り敢えずは、町内会や自治会等の地域の知人に相談するとかして、まずは近隣住民と問題を共有するのが大切だと思います。

また、子どもたちのイタズラに対しては、チャイムが鳴らないようにするとか、庭に入り込まれないよう垣根を高くするとか、子どもたちにイタズラ遊びをしないよう穏やかに説得するとか、テクニカルな個々の対応が必要に思います。



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