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子どもたちの夏休み体験記


1997/12
■子どもたちが田舎の自然で見たものは…遊びと子ども

 夏休み中の2週間、妻と子どもたちは鹿児島の田舎で過ごした。長男などは、たっぷり釣りが楽しめると思ったのか、愛用の釣り用具をいっぱい持って出かけた。その間、子どもたちは、生まれ育った埼玉とは言葉も風土も生活習慣も随分違ったところで生活した。

 感想はどうか。いろいろ戸惑いもあったらしい。一つ一つどこか勝手が違った。特に子どもたちが意外だと思ったのは、豊富な自然がありきれいな川が流れているのに、子どもたちが誰も遊んでいないということであった。

 地域の過疎化が進行し、子どもの数が相対的に少ないということもあるが、鹿児島は知る人ぞ知る教育熱心県なのだ。進学熱も高い。夏休み中も多くの子どもたちは塾や予備校に通い、我が息子たちのように勉強もせず昼日中ふらふらと外で遊んではいない。それに子どもたちはタマゴッチなどの電子玩具に洗脳され、豊かな自然の中でいくらでも遊ぶことができるはずなのに、ゲームに熱中する子どもはいても、自然に関心を向ける子は少ない。だから、当地の川で釣りをしたり、泳いだりする子どもは彼らだけということになった。二人は、湖や九州最南端の海岸や観光地など色々な所を案内してもらい、さらに日焼けして飛行機で帰ってきた。

 さて、戻ってきてすぐに次男はペットボトルロケットの製作にかかった。前回の試射会の時の失敗を教訓に、機体の長さやタンクの水の量や空気圧、そして発射角度などを考える。彼はJリーグ浦和レッズのホームスタジアムの隣のグランドで、市の教育委員会他主催の小学校対抗ペッボトル大会の代表の一人なのだ。

 当日、会場には多くの「科学者の卵」(主催者がつけた名称)たちや父母・教師たちが集まり(次男は楽しそうだから参加しただけ)市の教育長も臨席された。競技の方法は約70mの地点を中心にロケットを発射し、落下地点によって得点を競うもの。見事な弧を描いて飛ぶものもあれば、よたよた飛ぶもの、きりもみして落下するもの、発射に失敗するものなど、様々。

 さて、次男のロケットは、勢い良く発射し、ぐんぐん飛距離を伸ばし、正規の落下地点を軽く越え、さらにグランドの高い網のフェンスを越え、場外にすっ飛んでいって見えなくなってしまった。会場は一瞬静まり、みんなはあっけにとられて眺めていた。次男たちは驚喜し、もろ手をあげてヤッターと叫んだ。が、これは規定外で得点は5点満点中の3点。結局、子どもたちの入賞はならなかった。しかし、試合後の講評の時、彼は専門家から特別に素晴らしい誉め言葉をいただいた。

 2度とは戻らぬ子ども時代の夏休み。そこでどんな想い出を一つ一つ心に刻みつけていくのか。とにかく、こうして子どもたちの夏休みは終わった。(A)



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