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禁止・禁止・禁止…子どもはどこで育つの?


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■禁止・禁止・禁止…子どもはどこで育つの?
埼玉県 hirame

 我が家の家の近くに広大な遊水池運動公園があります。大雨が降れば川の一定の水位を超えた水がそこに流れ込み、広大な遊水池となり、もしボートでもあれば乗ってみたい誘惑にさえ駆られるような眺めになりますが、普段は整備されて運動公園として使われています。

 真ん中には二面のサッカーコートがあり、土日は地元のサークルや学校のチーム同士のゲームが行われています。その他に、二面のテニスコート、ゲートボール場、サッカーのハーフコート、点在する自然の釣り場などもあります。この中で平日に一番多く使われているのは高齢者のためのゲートボール場で朝早くから大勢の高齢者の方々がカツンという乾いた響きを立てて技を競い合っています。テニスコートも青少年の人たちによく利用されています。使った後にブラシをかけて整地してから帰ります。

 また、曜日に関係なく、朝夕は遊歩道を散策したり散歩したりしている沢山の老若男女の姿が見られます。ベンチには高齢の常連の方たちが集まって談笑しています。犬を連れて散歩をしている人もいます。舗装された道路では、サポーターを着けローラーブレードを履いた子どもたちが指導を受けている姿も時々見られます。たまには保母さんに引率された幼稚園の園児たちが手をつないで並んで歩く可愛らしい姿も見られます。草地ではミニゴルフに興じている年配の方、点在する池沼ではのんびりと釣りをす風景も見られます。時折、笛やサックスなどの楽器を練習している音色も響いてきます。決まった時節には、近隣の幾つかの中学校の持久走などのレースの姿も見られます。所々に立っているのはきっと学校の先生なのでしょう。お正月にはいろいろな家族が子どもを連れて凧揚げにも来ています。凧揚げだけは今も昔も子どもたちの大好きなものの一つのようです。春になれば、土手には桜の花が咲き誇り、大勢の人の目を楽しませてもくれます。

 このように、いろいろな人が生活の時々に活用し憩いの場としている公園なのです。そして、それぞれの人が互いの領分を侵すことなく楽しんでいるようです。

 ところが、最近、公園の入り口にこんな注意書きの看板が立ちました。曰く「Cゴーカート禁止Cゴルフ禁止Cペットボトルロケット禁止」と。「ああ、ついにここもか…!」と私は思いました。
 この運動公園で、それらの遊びやスポーツの事故などのトラブルが起きたというのではないようです。そういうことは、一度も耳にしたことがありません。もちろん、テニス漫画の影響を受けたテニスのチビプレーヤーが雨上がりの乾ききらないコートで遊んでコートを傷めてしまったということはありましたが、注意すれば済むことでした。

 今回、禁止の看板が立ったのは、それらが危険だとの判断なのでしょう。でも、ちょっと待ってください。それは余りにも安易な管理のやり方ではないでしょうか。ご自分たちが嫌な役目を増やしたくないためだけの措置のように思います。

 実は、そこでペットボトルロケットを飛ばして遊んだのは私たち家族なのです。市の教育委員会では毎年ペットボトルロケット大会が開かれています。小学の息子はそれに参加したいということで、ペットボトルロケット製作の講習に参加したのですが、器材を購入し、出来上がった後に試射をすることは出来ましたが、それ以外飛ばす機会がなかったのです。それで、家族で運動公園に行って飛ばしてみることになったのです。その時、二面のサッカーコートは使われずに空いており、その周囲にも人はいませんでしたので、失敗も含め何回か飛ばしてみたのです。

 そうしていると、管理室から女の人が出てきて「危ないんじゃない?」「いえ、周りを見てやっていますから。それに飛ぶ距離も分かりますから」「でも、やっぱり飛ばすのは…」というようなやり取りが少しあったのです。その時、公園使用の規定には「ペットボトルロケット禁止」というのはありませんでした。そのやり取りの後も、私たちは何回か飛ばして遊びましたが、危険と思われることは一度もありませんでした。何も人に向けて飛ばすのではないのですから。そのくらいの社会常識はわきまえているつもりです。でも、今回の禁止の看板は、それが引き金になったのではないかと思います。そして、「ついでにこれも、これも…」ということになったのかもしれません。

 でも、地域でこれ以上に広く条件の整った場所はないのです。ここで禁止ということになれば、一体子どもたちにどこで飛ばせいいというのでしょう。まさか、教育委員会もお膳立てされた儀式でお茶を濁せばいいと大会を企画しているわけではないでしょう。要は公園を管理する側がその時その時に応じて出来る状況かそうでないかを臨機応変に判断すれば済むことではないかと思います。そういうこともせずに一律に禁止するては職務の怠慢のように思います。

 とにかく、公園と名のつくところは「〜禁止」ということが多く、子どもたちが体を使って存分に遊ぶところが少な過ぎるように思います。ゲーム遊びは問題だと言い、それ以外の遊べる場を奪っているのです。一体、子どもが子どもらしく育つ場がどこにあるというのでしょう。こういうところから改善されていかなければ、いくら健全に育てよと言われても、健全に育てようがないと思います。

 話は逸れてしまいました。でも、子育て中の親にとっては、今の社会では困難なことが余りにも多過ぎるように思います。育てる親が大変なら、育つ子もまた大変な状況にいるのです。



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