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学費は全て親が負担すべきものか


2002/12/20
■学費は全て親が負担すべきものか……各国との比較から考える

 公立大学の学費が日本程高い先進国はないという。ある統計によると、先進国と言われる国で親が学費の大部分を払っている比率は、日本78・9%、ドイツ37・1%、アメリカ29・7%、イギリス21・6%だという。

 また、親が学費を負担していない比率はイギリス57・1%、日本8・3%だという。極貧だと言われる件の北朝鮮でさえ大学の学費は全額、国が負担している。

 そもそも子ども達は国の財産であり、次代の担い手であるという観点からすれば、いくら資本主義の世の中とはいえ、子ども達の学費をすべて親が負担しなければならないという発想はどこか違うのではないか。大学の学費は親が払うものという常識を捨ててみる必要があるかもしれない。しかし、勉強したくない者まで国が学費を負担するのはどうかという意見もあるだろう。そこで、学費は勉強する本人の負担とし、将来的に還元することにするという制度もいいかもしれない。

 親の経済状況で子どもの勉強する機会が左右されるというのは不合理であり、国家的な観点から見ても大いなる損失と言える。子どもの能力と親の経済状態とは本来関係のないはずのものだ。とにかく、教育の機会均等を保証し、勉強したい者がしたいだけ勉強できる環境を作ることはとても大事なことだろう。

 教育の階層化ということが言われるようになってきたが、それは親の経済の階層化と深い繋がりがあるという。ところが、日本では、教育行政は国家としての教育目的の遂行には過剰なほど熱心だが、教育費は基本的に家庭が負担するものという原則を貫いてきた。そして、今進行中の教育改革の論議の中でも、そういう経済的な側面の視点が欠けているように思う。

 しかし、もはや「口は出すけど金は出さない」式の教育行政では、とても日本の社会の展望を切り開くことは出来ない。



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