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あなたも私も協力者


(5)あなたも私も協力者

 最近、ニュースや新聞などで、児童虐待という言葉をよく耳にされると思います。とてもかなしいことです。
 家庭児童相談室でも、市民の方から虐待通報をうけることがあります。お話を聞いてから、私たちが訪問をしたりすることもありますが、ほとんどは児童相談所に通告し、対応をお願いすることになります。
 虐待を発見するのに、市民の方からの通報は貴重な情報となるわけですが、通報することがすべてではないところに、事件とは違う何かを感じなければなりません。

 例えば、近所で子どもの泣き声が絶えない家があるとしましょう。心配をした近所の方があの家で虐待が行われているのではないかと思い、相談室に電話をくれたとします。そして私が電話をとり、その方から状況をうかがいます。そこで私がしなければならないことは、いかに多くの状況を聞き情報を得られるか、そして、どれくらいの真実性があるのか。児童相談所に通告するにしても、自分で訪問することになったとしても、この2つのことは欠かせないことになってきます。

 しかし、ここで間違ってはいけないことがあります。通報を受けた私や、心配をして電話をしてくれた近所の方も、どちらも「調査官」ではないということです。どうしても真実を確かめようとすると、いわゆる「裏をとる」ようなことをしようとしたり、「その人に関する情報を洗い出せ!」というような感じになりがちです。もしかすると、そう感じているのは私だけかもしれませんが、「正義」という名のもとに、余計な詮索までしてしまっていることがあるのかもしれません。

 確かに、間違った情報だけであれこれと動くことはできないので情報集めはもちろん大切なのです。ただ、他の相談を受けたときにもいえることなのですが、何事にも、真実を確かめることだけがすべてではないと思うのです。もしかしたら嘘かもしれない、という発言に出会ったとしても、その発言をその人がしている、という事実の方が大事だったり、本当かどうかは分からないけれど、こちらが疑うことから始めるのではなく、まずはすべてを受け入れる気持ちでいることが大切なのでしようね。

 児童虐待防止法の成立もあり、虐待通報の件数も増えてきています。近隣関係が希薄になりつつある現代で難しいことではあると思うのですが、「虐待か!?」と思ったときには、あなたは「調査官」になるのではなく、ぜひ「協力者」になって欲しいのです。そんな私も仕事を離れたときにでも、自分がそうあり続けられるかどうか、不安ではあります。でも、どうしたら「協力者」になれるのか、考え続けることは決してやめずにいようと思っています。
 今回は、ちよっと真剣な話題でしたが、りんご娘相談員が、切に感じ、そして願っていることを述べてみました。




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